早い鍵
マンションが投資商品のごとく、買えば必ず値上がりした時代には、「実物を見てから決めたい」と思っていても、実物を見ることができるようになる頃には、ほとんどの場合ほしいと思う物件は売り切れてしまっていました。
実物を見てじっくり買えるような物件はどう見てもほしくないものがほとんどであったのです。
いまでは、駆体外モデルルームだけで売れてしまうような物件はほとんどないと思われます。
もちろん希望の間取りがなくなる恐れはありますが、高い買い物をするのですから、現物を確かめてから買うほうが間違いないと思います。
それに、かなりの確率で「即日完売」の物件でも「キャンセル住戸」が出ます。
それが本当にキャンセル住戸なのか、売れ残り住戸なのかはわかりませんが、必ずと言っていいほど出てくるはずです。
なお、参考のために言い添えますと、モデルルームを駆体外でつくるとすると、その規模などによって違いますが、借地費やインテリア費用などを含めて、安くて二五○○万円、だいたい三○○○万円程度かかります。
これが総戸数二一○戸のマンションだったら、一戸当たり一○○万円かかっているということになります。
また、『週刊住宅情報』や新聞の折り込みチラシで広告する場合にも一○○万円単位でお金がかかります。
一件契約するのに、広告費だけで最低でも一○○万円かかると言われているのです。
もし売れ残り住戸があり、これから広告をしなければ売れないと考えていたら、単純に考えて、広告をしなくてよいのであれば一○○万円は黙って値引きできてもいいはずです。
さて、新築マンションのチェックポイントはというと、次のようなことになります。
①用途地域を調べるこれは戸建てのチェックポイントと同じですが、マンションの場合は商業地域に建てられることも少なくありませんが、商業地域に建設されるものを購入する場合は、バルコニーが道路側以外のものを購入してはいけません。
なぜなら、商業地域では日影による規制がありませんので、仮に道路が西に接道しているとき、接道幅が短くて奥行きが長い敷地だと、南側にバルコニーを設けている例もあります。
とくに南側に三、四階建ての既存物件があるときはそうですが、将来、その既存物件が高層住宅に建て替えられて、一日中日が当たらなくなる可能性だってあります。
このことは契約前に重要事項説明の中で説明しなければいけないことですが、ほとんど契約当日、しかも頭金を振り込んでから行われています。
よく聞いていなかったり、「まあ、いいや」と思うのか、かなり重要なことなのに、その時点で契約をやめる人はあまりいないようです。
マンションは日照、通風はもちろん、眺望も価値の一つですが、前面にどんなものが(建てようと思えば)建てられるのか、そのマンションの敷地だけでなく、近隣の用途地域まで調べましょう。
②設計図書をコピーする。
完成した物件を購入する場合はまだしも、モデルルームだけを見て購入しようとする場合は、モデルルームのタイプと実際に購入するタイプが同じとは限りません。
設備機器や建具の仕様などはモデルルームを見て確認できますが、部屋ごとの特徴である物入れの大きさ、はりの大きさ、天井の高さなどは設計図書(またはパンフレット)だけが頼りです。
パンフレットも設計図書を書き写しているわけですが、設計図書よりも図面が小さく、細部の寸法が明示されていないので、設計図が頼りになります。
というのも、マンションは設計図害通りに建てられないこともしばしばあるからなのです。
パンフレットは青田売りマンションの場合、重要事項説明書の一部として活用されますが、このパンフレットに必ず「行政庁の指導、施工上の都合などにより、変更になる場合があります」と書いてあるはずです。
行政庁の指導で変更になることでさえ、釈然としないのに、施工上の都合で変更になるとはあんまりだと言いたくなるではありませんか。
天井高が二四○センチだと思っていたのに、実際にでき上がったら二二一五センチだったなんてこともあるのです。
それでも、図面を見るだけで買うのですから、図面と食い違う箇所があれば善処してもらうよう交渉できます。
図面は必ずコピーしておきましょう。
なお、建物が完成したあとに管理室などに備えつけられる竣工図面は、この設計図書通りに建築きれなかった部分も訂正して書かれていますので、現物と同じはずです。
③排水計画を確かめる。
マンションの場合は、上から下に延びる縦管と各専有面積上を走る横引管の二種類の排水管があります。
原則として縦管は同じPS(パイプスペース)の中を通っています。
マンションはその列がすべて同じ間取りなのは、このPSの位置による制約が大きいためです。
さて、PSはトイレの汚水用と洗面所、風呂、キッチンの雑排水用とに分けなければなりません。
できれば洗面所、風呂で一系統、キッチンで一系統ほしいところです。
どうしてかと言いますと、排水系統を一緒にしてしまうと、一カ所詰まると、一緒にしたすべての排水に影響が出てしまうからです。
ですから、トイレの汚水とほかの雑排水を一緒に計画しているなんていうのは言語道断です。
洗面所と風呂場は通常隣り合わせのことが多いので、両方を一系統としても支障がない場合もありますが、キッチンと風呂、洗面所は離れて計画することが多いので、別系統が無難です。
縦系統の配管までは専有区域を横配管でつなげるわけですが、横配管は勾配にもよりますが、長さが二メートル以内に収まるぐらいのPSの位置が理想です。
また、仮に二メートル以上の配管距離でも、直線ならまだしも曲線の配管では将来のトラブル発生は必至と言わざるを得ません。
④長期修繕計画をチェックする。
「マンションは管理を買え」とはよく言われる言葉ですが、中古マンションで管理組合がある場合なら別ですが、新築マンションの場合は、これから管理組合をつくるので、管理のありようはどうにでもなると言えないこともありません。
しかし、販売時に決められている管理費や修繕積立金の額は、おいそれとは変えられるものではありません。
この中で一番問題なのは、管理費に余裕があっても、修繕積立金はほとんどの新築マンションでは余裕がないということです。
管理費に余裕があるといっても、駐車場や駐輪場、専用庭使用料やルーフバルコニー使用料を管理費収入にしてしまって、見かけの管理費会計が余裕があるだけということも少なくありません。
機械式の駐車場、ラック式の駐輪場、ルーフバルコニーは必ず将来大規模な修繕が必要になりますので、それらの使用料は、全額とは言わなくても、ある程度の割合で修繕積立金会計に振り分けているほうがベストでその他としてまとめさせてもらいますが、交通の便や日常生活利便性、近隣の騒音など、⑤その他実際の例で言いますと、ある財閥系のデベロッパーのマンションで、一○年前の新築時には七○平方メートル足らずの専有面積で管理費と修繕積立金の合計が一万五○○○円だったものが、修繕積立金が大幅に不足してしまい、一○年後の今日では四万円にまでなっているものさえあります。
マンションは必ず劣化しますので、長期的な視野に立った修繕計画があるマンションがおすすめです。
新築マンションや建売住宅を契約すると、必ずと言ってよいほどあるのが「オプション相談会」です。
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